絵本 くまとかきのみ

絵本 くまとかきのみ

 

九州北部豪雨から5年。
その節目に、これまでとこれからを
語り得る物として絵本をつくりました。
西日本新聞朝刊で取り上げていただきました。(2022.0707)

 

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災害を無かったことできない。

今のこの気持ちを無かったことにできない。

現地の様子やその現地にいる(いた)人の気持ちを思うと

とてもじゃないけど背負いきれないと思った。

僕は、ただただ現地の人たちと語り合えることが嬉しかった。

そして罪悪感が芽生えるほど、どうしようもなく楽しかった。

それを素直に喜んでいいだろうかと。

うしろめたさも一緒くたになっていた。

そして、慮って共感したフリをするのではなくて、

ありのまま感じたものを。

どうにもできぬ、
どうにもならぬこと。
言葉にはできないこと、
霧中のような気持ちを
一番正直で、
素直で温かいところで抱きしめる。

そんなような感覚で
描いていたと思う。
ずっと願って描いた。
というよりも
絵本に描かされたという
表現がしっくりくる。

最後はただ写しているような感覚。
現地へ行って「力になりたい」と強く思った。

そうさせたのは、出会う人の言葉や態度。

帰ってきてからも、筆を動かしている時も

ずっとみんなが笑って見守っているような気がした。

いろんな力(はたらき)で物語が紡がれていきました。

揃った感じ。結局描き始めて、完成までは異常な速さでした。

 

災害を経て生まれたもの、授かったもの。物語というもの。
災害によって、出会いが生まれ、未来が創られていく。授かっていくという表現でしょうか。

僕らのそういったエネルギーを、喜びを分かつもの。

物語にはそういう力があるのです。たくましいクマのような。

物語は魂で、未来へと漕いでくれるもの。

僕はその人たちや見えないものを感じ取って、ただただ編んでいく。

僕はそういう態度を貫きたい。

 

 

さく・え:なるかわしんご

発行  :平榎の郷守り会

発行日 :2022年3月11日

¥1,540(税込)
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